何回か続けて 咳 について書いてみたいと思います。以前書いたものを再構成してお書きします。
咳を主訴に来院される患者さんは多いです。もっとも多いのが風邪であることはいうまでもありません。
咳は生体の防御反応であり異物を除去する重要な反応です。咳は止めなくてはいけないとみんな思いすぎではないだろうかと最近思います。
軽度のものであれば放っておいてもいいのではないかと考えています。風邪の咳には咳止めは効果がないという論文もあります
風邪に限らず咳止めは咳には効かないことが多いと思います。私は詐欺の薬と呼んでいます。元を治さなければ治まらないのです。
例えば喘息の咳には喘息の治療が必要だし、肺炎の咳には抗菌剤が、胃液の逆流に関係する咳は胃酸を抑える薬が、副鼻腔炎には抗生剤が必要です。
つまりきちんと診断をすることが大切です。咳が出れば原因を考えず咳止め、まして抗菌剤を使用するのは愚の骨頂です。
風邪の咳に咳止めは効かないから何もしないというのも問題があります。風邪のとき異物を除去しようとする咳は止めない方がいいし、薬も効きません。
免疫反応でウィルスを除去できれば咳は止まります。時間が解決します。
それ以外に風邪の時は痰がつまってしまったために出る咳には去痰剤を使用すれば楽な咳に変わります。
気道の粘膜に傷がつき反応性が高くなりすぎておこる咳には麦門冬湯という漢方薬が良く効きます。鼻水や皮膚のかゆみを止める抗ヒスタミン剤も有効です。
のど飴やうがい、飲水も有効です。風邪の初期では完全には咳が止まらなくてもこれらの薬で楽になります。
完全に止めようと考えず、楽になれば数日で止まってくると考えれば楽ではないでしょうか。