おはようございます。小金井市山崎内科医院院長の山崎です。今日は 迅速検査 の話です。
インフルエンザ迅速検査は有名ですが RSウィルス、ヒトメタニューモウィルス、ノロウィルス、マイコプラズマ、溶連菌など多くのキットがあります。診断には確かに有用なのですがこれだけですべて診断できるわけではないことを知らない人が多いと思います。よくインフルエンザ、RSウィルス、ヒトメタニューモウィルス、ノロウィルス、マイコプラズマでかどうか検査してもらってきてくださいと言われて来院される方がいます。
検査で陽性でもその病気ではなかったり(偽陽性)、陰性であってもその病気だったり(偽陰性)します。症状などと照らし合わせて診断することが大切です。症状や診察所見から診断がほぼ確定できる場合は検査は必要ありません。逆にまず否定できる場合も検査する必要はありません。また診断できても治療方針に変わりがなければ検査する必要はありません。病気の疑わしさが中等度で、結果により治療方針が異なる場合に検査が有用になります。またすべての年齢で保険診療で検査できるわけではないことも知っておいて欲しいです。
例えばノロウィルス。この検査は感度が高くなく、偽陰性になることが多いです。また感染性胃腸炎を起こす他のウィルスと治療法も感染予防も全く変わりません。嘔吐物や便から飛んで吸入することで感染する。嘔吐物、便を触れた手から環境に移行し、それを手で触って自分の口に触れて感染します。このウィルスに効く薬があるわけでなく症状を和らげる薬と水分補給が大切で、水分がとれない場合は入院して補液などおこないます。私は検査する意味がないと考えており当院では検査しません。ただ医学的には正しくないのですが調理師の場合検査で陰性になることを確かめてから勤務可能にしてほしいと保健所に言われたので検査できる医療機関を紹介します。この検査で陰性でも他の感染は否定できないし、ノロウィルスは便中に1か月くらい存在するのでほとんど意味なく、数日休んで手洗いをきちんとするというのが正解なのですが仕方ないです。
RS、ヒトメタミューもウィルスのばあいは健常者の場合は鼻症状、咽頭症状、呼吸器症状が軽度です。軽い風邪の場合、学校、幼稚園、学校、会社を休むことはないので診断する意味はないです・もし検査して今日陰性でも明日、感染するかもしれません。感染を否定するために毎日検査するなんていうことは無意味ですよね。基礎疾患がある場合は重症化するリスクがあるので入院する場合や重症な病気を持っている施設などでは検査の適応になることもあります。感染経路はくしゃみ、咳などから飛んで、それを吸い込んで感染します。ですから予防は咳エチケットと手洗いです。
基本はどの感染症でも咳エチケット、手洗いが大切になります。感染症の診断は完ぺきではない、感染予防は完ぺきにはできない。いかに感染を減らすかが重要なことを覚えておいてください。インフルエンザに関しましてはまた別の機会にお話しします。
焦らない,迅速検査の使い方~適応と限界を知る~も是非参考にしてください。