一昨日 オーラルフレイル について口腔リハビリテーションの日本第一人者である日本歯科大多摩クリニック院長 菊谷武先生の講演がありました。小金井市の地域包括システム研究会の介護予防部会でいっしょに活動している仲間です。一応私が部会長、菊谷先生が副部会長をされています。介護予防部会では将来要介護にならないためにどうするかを検討し、実行する目的で結成されました。摂食がきちんとできるようにすることが介護予防につながるので、それを当面のテーマとしています。今回は医療職を対象にそれを勉強するために開催しました。2月20日には小金井市のお元気サミットの中で市民向けの講演を行います。
フレイルというのはわかりやすく言えば「加齢により心身が老い衰えた状態」のことです。フレイルから要介護に移行しないように、できれば健常な状態に戻すことが介護予防の主眼となります。①体重減少:意図しない年間4.5kgまたは5%以上の体重減少。②疲れやすい:何をするのも面倒だと週に3-4日以上感じる。③歩行速度の低下。④握力の低下。⑤身体活動量の低下。の5項目のうち3つを伴うものをフレイルと考えます。この状態になると約2倍の死亡率、入院率となるそうです。口腔機能に限って機能低下があるものも同様に約2倍の死亡率、入院率になることから口腔機能を維持することが身体機能を維持することにつながります。口腔機能の維持が大切になるといえます。栄養が摂れなくては運動など身体機能の維持のための活動もできないということです。
以前8020運動(80歳までに歯を20本残そうという運動)というのを国と歯科医が掲げて目標をほぼ達成しました。しかし歯を残すことのみに主眼をおいたために、不健康な歯が残り、かえって摂食に不利益になり、抜歯するはめになってしまいました。抜歯しない高齢者も多く、摂食に障害をきたしているのが現状です。ここで菊谷先生は根本に歯があれば摂食嚥下がきちんとできるようになると以前考えていたことが間違えであったことを強調されました。摂食嚥下に最も大切なのはそしゃく機能で、しっかりものをかみ、砕くことが大切とのことでした。極端ンにいえば歯はなくてもそしゃく機能があれば極端に硬いものでなければ摂食嚥下できるとのことです。歯は補助でしかないのです。このことに長い間誰も気づかなかったわけです。歯はあったほうがいいけどわき役なのです。1日3食きちんと噛んで食べるだけで機能は保てます。運動はやろうとしないとできないが人は絶対食べるので、その時にきちんと噛んで食べることが介護予防になります。運動はあえてしないとできないが普段の生活の中で動くことを意識すると活動量が増え、介護予防につながるという私の考え方にも通じます。普段の労作を増やすこともまずは摂食嚥下がきちんとできて栄養が摂れることが大前提なので運動指導の前に摂食、嚥下の指導が最優先であると思いました。介護予防にむけて頑張って活動していきます。